「かけ流し」だけじゃ伸びない!学習定着率で考える、本当に効果のあるおうち英語

「毎日英語の歌を流しているのに、効果があるか分からない…」
もしあなたがそう感じているなら、今回の記事はその悩みを解決するヒントになるはずです
こんにちは!子育て卒業した元翻訳者のねこみみです
我が家のおうち英語は手探り状態でした
良いと言われる教材を試したり、ひたすら英語の音源をかけ流したり
でも、子どもの反応はイマイチ
「本当にこれで英語が身につくのかな?」と不安になる日々でした
そんな時、ふと日常生活で使う言葉を少しだけ英語にしてみようと思い立ったんです
例えば、
おもちゃを片付ける時に「Let’s clean up!」
お風呂に入る前に「It’s time to take a bath!」
ゲームの時間を守れず、つい取り上げてしまったゲーム機。「返して!」と騒ぐ子どもに、「じゃあ、”Can I have it back, please?”って言えたらね」と促してみたり笑
使っていたのは、中学校の教科書の最初に出てくるレベルの、本当に短いフレーズばかり
最初は私が一方的に言うだけでしたが、繰り返すうちに子どもも真似するようになり、状況と英語の言葉が自然と結びついていったんです
驚いたことに、以前よりも英語への反応が良くなり、簡単な指示も理解してくれるように
「なんでだろう?」
そう思っていた時、偶然知ったのが「ラーニングピラミッド」という教育理論
知っていますか?学習定着率を高める「ラーニングピラミッド」
「ラーニングピラミッド」とは、アメリカ国立訓練研究所が提唱した、学習方法と学習定着率の関係をピラミッド型の図で表したモデルです

学習方法 | 学習スタイル | 平均学習定着率 |
---|---|---|
講義(聞くだけ) | 受動的 | 5% |
読書(読むだけ) | 受動的 | 10% |
視聴覚(見る・聞く) | 受動的 | 20% |
実演を見る | 受動的 | 30% |
グループで話し合う | 能動的 | 50% |
実際に体験する | 能動的 | 75% |
他の人に教える | 能動的 | 90% |
このピラミッドを見ると、私たちがよくやりがちな「聞く」「見る」といった受動的な学習は、実は学習定着率が低いことが分かります
一方で、能動的な学習である「体験する」「他の人に教える」といった方法ほど、学習内容がしっかりと身につくのです
衝撃!かけ流しは、学習定着率わずか5%だった
これまで私が行ってきたおうち英語をラーニングピラミッドに当てはめてみると…
- 英語の歌やCDをかけ流す
→ 「講義(聞くだけ)」に近い - 英語のDVDや動画を見せる
→ 「視聴覚(見る・聞く)」に近い - 英語の絵本を読む
→ 「読書(読むだけ)」に近い
これらは全て、ピラミッドの下層に位置する受動的な学習です
決して無意味ではありませんし、インプットは大切ですが、これだけでは限界があるのです
私の「ちょっとだけ英語」が効果的だったワケ
では、なぜ私が手探りで始めた「日常生活で使う言葉を少しだけ英語にする」という方法が、子どもの英語の定着率を高めたのでしょうか?
それは、この方法がラーニングピラミッドでいう「実際に体験する(75%)」に近いからです!
- 状況と英語がダイレクトに結びつく
「Let’s clean up!」と言いながらおもちゃを片付けることで、「clean up」という言葉と「片付ける」という行動が一致します - 親との自然なコミュニケーション
日常生活の中で親と英語でやり取りすることは、「グループで話し合う(50%)」に近い効果もあります - 成功体験が自信に繋がる
子どもが「”Can I have it back, please?”」と言うことでおもちゃを取り戻せた経験は、成功体験となり、更なる学習意欲を引き出しました
意識していなかったものの、ラーニングピラミッドが示す学習効果の高い方法を、日常生活の中で取り入れていたようです
今日からできる!ラーニングピラミッド式おうち英語
難しく考える必要はありません
今日からあなたも、ラーニングピラミッドを意識したおうち英語を始められます
- インプットとアウトプットのバランスを意識する
ただ聞かせるだけでなく、聞いたことを実際に使ってみる機会を作りましょう - 体験型の学習を取り入れる
親子で楽しめる「体験型おうち英語」はこんなにあります!
お料理で英語
“Pass me the salt, please.”
お買い物ごっこ
“How much is it?”
ジェスチャーゲーム
“I’m a cat!” “I’m driving a car!”
英語の歌でダンス
“Head, Shoulders, Knees, and Toes” - 日常生活に英語を取り入れる
我が家の体験談のように、「ちょっとだけ英語」を意識して使ってみましょう - お子さんに「先生」になってもらう
覚えた英語を家族に教える機会を作ることで、理解が深まります
コツは「文法を教えないこと」
日常生活に簡単な英語を取り入れるとき、親がやってしまいがちな失敗が「文法の間違いを細かく正してしまう」ことです
お子さんが拙い英語で何かを伝えようとしたとき、「aじゃなくてanだよ」「三単現のsが抜けてるよ」なんて、つい口に出していませんか?
実はこれ、子どもの「英語って楽しい!」という気持ちを削いでしまう、非常にもったいない行為なんです
学校で文法を習うまでは「文法を教えないこと」
これが私が特にこだわっていたことです
その理由は、大きく分けて3つあります
理由1:赤ちゃんが日本語を覚えるプロセスと同じだから
私たちは、自分の子どもに日本語を教えるとき、「これは主語で、こっちが述語だよ」「『てにをは』の使い方はね…」なんて文法から教えたりはしませんよね
赤ちゃんは、家族が話す言葉をシャワーのように浴び、生活の中の具体的な状況と「音のまとまり」を結びつけて、自然に言葉を覚えていきます
「ワンワン、いたね」 「まんま、おいしいね」
最初は単語の羅列でも、私たちはその「伝えたい気持ち」を汲み取り、笑顔で応えます
英語も全く同じです
小さい子どもにとって、英語は理屈で学ぶ「教科」ではなく、コミュニケーションの道具
まずは状況と音のまとまり(フレーズ)をたくさんインプットし、「英語って通じるんだ!」という感覚を育てることが大切なのです
理由2:英語が「お勉強」になり、話すのが嫌いになるから
子どもにとって、親との会話は一番楽しいコミュニケーションの時間
その中で、間違いをいちいち指摘されたらどう感じるでしょうか?
<よくある失敗例>
子:「Look! I have a sheeps!」
親:「しいぷす、じゃないよ。sheepはたくさんいてもsheepのままなの」
子:(せっかく見つけたのに…なんだか楽しくないな…)
→ 間違うのが怖くて話さなくなる
これでは、英語で話したいという意欲の芽を摘んでしまいます
<おすすめの対応例>
子:「Look! I have sheeps!」
親:「Wow, you have sheep! Yes, lots of sheep! So cute!」
このように、子どもの言ったことを否定せずに、正しい英語のフレーズで自然に繰り返してあげるのです
こうすれば、子どもは「伝わった!」という喜びを感じながら、無意識のうちに正しい形をインプットできます
大切なのは、文法の正しさよりも「伝えようとした勇気」を褒めてあげること
理由3:文法は「後付け」で身につくものだから
たくさんの英語に触れ、フレーズが自分の中に蓄積されてくると、子どもは自分自身で文法のルールに気づき始めます
「”a book”だけど、”an apple”になることが多いな…」
「”I play”だけど、”He plays”になるんだな…」
このように、大量のインプTットの中から法則性を発見していくのが、子どもの言語習得の自然なプロセスです
言語の習得において、文法とは本来、後からついてくるもの
私たちが生活の中で自然に使ってきた言葉の仕組みを、後付けで「なるほど、こういうルールだったのか」と解き明かしていく
学校で英語が教科になれば、イヤでも文法を勉強しなくてはならないので
おうち英語ではそれくらいの距離感が、実は最も自然で、効果的なのかもしれません
まとめ
幼児期のおうち英語のゴールは、「100点満点の英語を話すこと」ではありません
「英語って楽しい!」というポジティブな土台を作ってあげることです
<今日から意識したい3つのこと>
- 「かけ流し」に「体験」をプラスする
- 日常生活の言葉を、一つだけ英語に変えてみる
- 文法の間違いは気にせず、伝える楽しさを優先する
まずは親子で間違いを恐れずに、たくさんの英語に触れてみてくださいね